個人事業主の家事共用資産の即時償却の判定 私の覚書


所得税の確定申告もあと1週間です。毎回ちょっと悩む家事共用資産の処理を覚書します。

 

少額減価償却資産の特例とは

個人事業主(青色申告者で申告書を期限内に提出)が30万未満の資産を買った場合、少額減価償却資産の特例を受けられます。

 

減価償却費は通常、耐用年数の期間で何年かに渡り経費にしていくのですが、この特例を受けると買った年に全額経費にできます。

青色決算書の減価償却費のページで、その資産の摘要欄に“措法28の2 明細は別途保管”と記入し、買った時の領収書・請求書は手元に保管しておけばOKです。書き方はリンク先をご覧ください。上限は年間300万円までです。

 

家事共用資産とは

この法律とあわせて個人が資産を買った時に気を付けるのが、家事共用資産に該当する場合です。

要するに、仕事でも家でも使う資産ということです。個人事業主ですと、車やパソコンが該当する場合が多いと思います。

30万円未満の家事共用資産はどうすればいいか

自分で妥当な事業割合を見積もって(半々だから50%ぐらいなど、妥当ならまざっくりでよいです)、その割合だけ減価償却費を計上します。

実際迷いそうなのは、30万円未満の家事共用資産を買った場合どうするかです。

事業割合をかけた後かかける前かどちらで30万円未満かどうかを判定するのかですが。

かける前の、買った金額で判定します。

ずばりこの2点を並べて解説してある箇所は少ないのですが、合わせ技で判断します。

まず総額で30万未満か判定

まず、金額が30万未満かどうかは総額で確認します。この場合税込み経理なら税込み、税抜き経理なら税抜きで判定します。

措置法28条の2 取得価額の判定単位

28の2-2 措置法第28条の2第1項に規定する少額減価償却資産の取得価額が30万円未満であるかどうかについては、通常1単位として取引されるその単位、例えば、機械及び装置については1台又は1基ごとに、工具、器具及び備品については1個、1組又は1そろいごとに判定し、構築物のうち例えば枕木、電柱等単体では機能を発揮できないものについては、社会通念上一の効用を有すると認められる単位ごとに判定する。(平15課個2-25、課審4-39追加)

 

これで即時償却するかどうか決まりました。

 

次に償却額を計算する

 

それから事業割合をかけた分だけを即時償却額とします。家事部分は減価はしますが、経費にはしません。

 

20万円のパソコンを買って仕事で70%、プライベートで30%使う場合は、

20万円×70%=14万円→仕訳は減価償却費/備品 140,000

20万円×30%=6万円→仕訳は事業主貸/備品 60,000

となります。

 

これは消費税法の部分ですが、所得税法上も事業用部分のみ経費・資産に計上できるので同じことです。

 

仕入れに係る消費税額の控除 家事共用資産の取得

11-1-4 個人事業者が資産を事業と家事の用途に共通して消費し、又は使用するものとして取得した場合、その家事消費又は家事使用に係る部分は課税仕入れに該当しないことに留意する。

計算が即時償却なのでちょっと戸惑うのですが(私だけ??)、通常の減価償却費を一括で計上するだけで(1円は残りませんが)同じことです。

最近はテレビもパソコンも安くなったので該当する資産も様変わりしてきました。

 

注意点

あとうっかりしやすいので繰り返しますが、30万円未満の資産の即時償却は青色申告書を期限内に提出したときのみの適用です。あと1週間です!

今回白色申告の方も、3月15日までに青色申告の届出書を出せば、来年H28年分から間に合います。

 

余談ですが、会計ソフト自体には白色・期限後で計算を除外するなどおせっかい?な機能はついてと思います。数字に気を取られて判断を誤らないように気をつけましょう。

 

【昨日の一日一新】

フィレンツェのいちごショートケーキ

正統派で美味しかったです!

 

 

 

 

 

 

 

 

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綾野 真紀

2016年9月に開業した名古屋在住の女性税理士&唎酒師です。今のところお仕事以外のことをメインに書いています。