つばた夫妻のドキュメンタリー映画「人生フルーツ」を観ました ときをためる暮らしの素晴らしさ


年末にシネマテークで観た「人生フルーツ」について覚書します。

愛知のつばたしゅういちさん&英子さん夫妻の日常を静かに追ったドキュメンタリーで、とってもすてきでした。

お2人で長年ほぼ自給自足のスローライフを送ってみえて、その暮らしぶりが人気で、本も何冊か出版され、またTV番組でもときどき取り上げられていました。

ご存知の方も多いと思います。私もi以前、この本を読んでつばたさん夫妻のことを知りました。

あしたも、こはるびより。: 83歳と86歳の菜園生活。はる。なつ。あき。ふゆ。

 

2016年3月に上映された東海テレビのドキュメンタリー番組が、文化庁芸術祭ドキュメンタリー部門で大賞を受賞し、その後再構成された劇場版がちょうど1年前に公開されました。

その後も上映館は減ったものの、今なお全国各地で上映されています。上映館はこちらです。

 

間の悪い私はドキュメンタリーを見逃し、映画も1年近く経ってようやく気づき、慌てて観に行った次第です。しゅういちさんはもうお亡くなりになっていたことを、映画で知りました…。

 

たんなる仲睦まじいご夫婦の、ほのぼのとした丁寧な暮らしを紹介するだけではありません。もちろんそのようなシーンは満載で、食事やおうちの中の様子などとってもすてきで、見とれます。
それぞれ自立しつつ支え合う爽やかカップルですが、今の暮らしに至るまでが色々あったようで、そのあたりも映像を通してよく伝わっていました。
建築家の修一さんは自分で計画した高蔵寺ニュータウンの一角の土地を買い、ご自身でレーモンド風のご自宅を建て、ほぼ自給自足にて住んでいらっしゃいました。
ご自身で自然いっぱいの里山風のマスタープランを作ったものの、計画は徐々に変更されて、ご自分のイメージと違う形で完成してしまったようです。
(実際の高蔵寺ニュータウンは愛知県内なので何度か寄ったことはありますが、それでもすてきな街です)
そこでせめて自分は里山のような暮らしをしようと、ニュータウンの土地を買ってお2人でスローライフを始められました。
英子さんは老舗の酒蔵のお嬢様育ちで、料理も自分でやるようになったのは結婚してからとのことでしたが、何気ない普段のお食事がとってもおいしそうで。
「できるものから、小さく、コツコツ。ときをためて、ゆっくり」
ケーキを自作、梅干しも梅から育てて漬ける、などはもちろんですが、以前みた情報番組では、麦茶をなんと麦を育てて収穫して焙煎するまで全部されていることに感動しました。
(緑茶をフライパンで煎っただけでほうじ茶を作った、とドヤ顔でブログに書いた自分を反省)
ほかに映画では、お孫さんと一緒に木でシルバニアファミリーのキャラクター&おうちをつくっていらっしゃいました。
プラスチックより木のぬくもりがいいとのお考えから、買うのではなくからデザインして木で作られたのです。またその愛情をお孫さんもしっかり受け止められて、その思い出を嬉しそうに語ってみえたのが印象的でした。
(とってもすてきなおうちで、商品だったらいくらするんだろうと一瞬でも思ってしまった私は実に心が汚い…)
ときをためてゆっくり、の力はすごいです。
まちづくりは修一さんの計画通りにはいかなかったものの、その後も里山を取り戻すべく、近くの山にどんぐりの苗木を植えたりと、地道な活動もされました。
また、英子さんが(本かTVか忘れましたが)「野菜の種もF1種(注)のものでも作り続けると種ができるらしいの」、と言ってみえたのが心に残っています。
(注 F1の種=実から種の作られない一代限りの種 今の種はほとんどF1 くわしくはこちら)
ご自宅と畑の見取り図です。
すべて修一さんの手書きの看板がたてられていました。
修一さんは密着取材中にお亡くなりになられ、お通夜やお葬式など一部始終も映像に残されています。
直前まで現役バリバリにお仕事をされていて、亡くなられる2カ月前に引き受けられた設計のお仕事では、打ち合わせから2日で設計図を作ってみえました。
道具もサッと出てきて、てきぱきとコピーを取ったり図に色々書きこんだりと、今の私よりずっときびきび動いてらっしゃいます。(ほんと大違いでした)
映画でも「あの仕事ぶりは現役の方そのものだった」とコメントされてました。
樹木希林さんのナレーションもよかったです。
おだやかに進んで行きますが、至る所でお2人のためてきた世界がにじみ出てきて、心を打ちます。機会があればまた観てみたいです。
日本映画専門チャンネルにて、1/3の深夜1:15(=1/4)からテレビバージョンがオンエアされるようです。詳しくはこちらをご参照ください。

 

 

この「ときをためる」という概念は、便利なものに囲まれた今の時代でも大事です。

一緒にするのもおこがましいですが、このブログでさえ(内容はともかく)2年のときをためて綴ってきました。まだ短い年月ながら、同じ分量を一気に書くだけでは得られない何かの積み重ねがあるはず、いやあってほしいと願っています…。

 

【昨日の一日一新】

タイガースのブランケット

ファンクラブ更新記念品です。毎年悩みます。実家に進呈しました。

去年のクッションも実家にあります。

 

 

 

Follow me!

The following two tabs change content below.

綾野 真紀

2016年9月に開業した名古屋在住の女性税理士&唎酒師です。今のところお仕事以外のことをメインに書いています。